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長谷川 友里

私は,自己組織化的に形成される分子薄膜を対象として研究しています.自己組織化とは,異なる要素が集まることで新たに機能を発現する現象のことで,自然界のあらゆるところで観察されます.これを新規機能性材料や省エネルギーなデバイスの開発・設計に活かすことが目的です.

実験においては有機半導体分子を扱います.分子個々が性質を有すると同時に,薄膜においては分子レベルの集合構造によって互いに相互作用を受け,電子・光物性の発現に影響を及ぼすことが知られています.一方で,その集合構造は弱い相互作用で安定化されているため,容易に制御できるものではありません.そこで分子と基板との相互作用を利用して成膜するところから実験を始めていきます.このとき,作製した薄膜の物性発現の機構について,表面科学の手法を用いて分子レベルの構造からアプローチします.それを実現するため,SRセンターの放射光を用いた電子状態計測や,走査プローブ顕微鏡を用いた分子レベルの構造計測を軸に,研究を進めていきます.

更新日 : 2022.06.25