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小笠原 宏

世界でもっとも深い地下3.6Km地点で、至近距離からの震源直接観測をおこないます。

地震発生のメカニズムを解析する震源の物理学、とりわけ地震発生準備過程の研究に力を入れています。現在は、世界で最も深い南アフリカの金鉱山において、震源からわずか100m以内という至近距離からの直接観測と調査をおこなっています。この研究は国内の6大学及び研究所の研究者らでつくる日本グループと、南アフリカ、欧米の各グループからなる国際産学協同プロジェクトです。実験で使用する各種の計測装置では、地震の発生から終息までを世界で最も詳細に完全収録できます。

日本の場合は、地震の震源のほとんどが地下10Kmであるために、震源付近での直接調査・研究が不可能です。仮に直接研究ができたとしても、その一生を完全収録するためには百~千年が必要です。

一方で南アフリカの地震は、地下2~3Kmでの採掘活動から数ヶ月以内に採掘域の100m以内で発生する特徴があるために、事前に震源域に観測計器を埋設して地震の一生を記録することが可能です。

このようにして地表での自然地震観測では得ることのできない地震の詳像を明らかにしつつあります。これまでに6つの金鉱山で研究をおこない、2006から世界で最も深い地点で欧米との共同観測が始まりました。

更新日 : 2022.06.25