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米田 大樹

柔軟に変形する構造の力学と機能に興味を持っています。バネはひっぱると伸び、押すと縮みます。これは弾性体力学の基本であり、一方向の変形です。ではもう少し違うかたちで、例えば自分の皮膚をひっぱるとどうなるでしょうか?手の平や足の裏の皮はあまり変形しませんが、手の甲や首なら伸びやすく、よく見るとシワになったり部分的に縮んだりと、単純には予想できない変形をします。この変形の違いは何に起因しているか明らかにし、シワなどの不安定な形状を予測することが私の研究目的です。実際には人間の皮膚だと毛穴や筋などがあり複雑なので、現象の本質を捉えるためにゴムシートのようなシンプルモデルに置き換えて、模型実験や数値シミュレーションを通して、変形と力学の関係性を明らかにしています。

そして例に出した皮膚のように、生き物には柔軟な変形構造が多く存在し、それによって様々な機能を獲得しています。花弁の展開、蝶の羽化、蛇の脱皮など、身の回りにも生き物の柔軟な変形があります。近年ではこれらの生き物の巧みな機能を足掛かりに、背後にある物理法則の考察が試みられています。みなさんも帰り道で、ぜひ少し足を止めて道端に目を向け、そこにいる実物の生き物を見てみてください。

更新日 : 2025.04.14