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池田浩章

物性物理学は、物質のマクロな性質を微視的な立場から理解しようとする学問で「もの」の理を追求する物理学です。例えば、同じ元素からなる結晶でも、ある組成では磁石の性質(磁性)を示すものが、圧力を加えたり、少し組成を変化させたりするだけで突如、超伝導を示したりします。その起源は何か。現在では、この磁性と超伝導が表裏一体の関係を持ちうるという事が徐々に明らかになってきました。また、物質の幾何学的な構造(トポロジー)から生じるディラック電子やマヨラナフェルミオンは素粒子の分野でも馴染み深い物理概念です。研究の舞台となる結晶は、色々な元素の無数の組み合わせで構成され、さながら人工制御可能な小宇宙と言えるでしょう。そこではまだ見ぬ新奇な量子相や素励起、準粒子が存在するかもしれません。このような想像に心躍らせる一方で、日常社会に還元できる「もの」ができないか、日々、精進しております。皆さんにも卒研等を通して是非その一端を垣間見、社会に巣立つための糧としてもらいたいと思います。

更新日 : 2022.06.24