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川方 裕則

地震という現象は地下深くで発生するために何が起きているかを視ることが難しい現象ですが、「直接測る,目で視る」ことができる地震学的研究を目指して、実験研究に取り組んでいます。岩石試料を用いた、三軸圧縮破壊試験(地下の地震発生層に相当する圧力条件下で実施する破壊試験)や大型二軸せん断試験(メートルスケールの大きい試料を使い模擬的な断層上で地震のようなすべりを発生させる試験)をおこない、目視での観察に加えて、弾性波(破壊や高速すべりにともなって発生するアコースティック・エミッションと呼ばれる波。地震に対する地震波に相当)の計測を実施します。時には、能動的に弾性波を送信し、試料内部の波の通り方についても調べます。また、実験後には、試料のX線CT画像を取得し、試料の内部構造(できつつある断層の様子)についても調べます。

最近は、フィールドを斜面にも展開し、地すべりに先行して発生することが期待される地下の弾性波の通り方の変化についての知見を得ることを目指しています。実験室での土層への注水実験と斜面現場での弾性波計測を並行して実施し、どのようなメカニズムで弾性波の通り方が変化するかを明らかにしようとしています。砂や土のような固まっていない粒状の媒質では、波がどのように伝わるのかよく分かっていないため、難しいテーマですがその分だけやりがいもあるテーマです。

さらに、室内実験と自然地震の双方にまたがるテーマとして、地震の前震の発生様式の解明を目指した研究や、地震のような大きい破壊と岩石試料内で発生する非常に小さい破壊との関係について調べる研究もおこなっています。

更新日 : 2022.06.24