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根間 裕史

物質と相互作用を示す電磁波は、物性研究のよいプローブとなります。これまで、いくつかの周波数領域で、物性物理の実験的研究を進めてきました。当初、キロヘルツからメガヘルツ領域で、実験を手掛けました。グラファイト表面に形成される単原子層のヘリウム3薄膜で現れる量子スピン液体状態(絶対零度でもスピンの自由度が凍結しない状態)の高磁場中の磁性を、核磁気共鳴を用いた実験で明らかにしました。

近年は、電波と光の中間に位置するテラヘルツ領域で実験に携わりました。量子井戸構造を利用した極めて感度の高いテラヘルツ検出器の作製・評価を行いました。また、超高感度なテラヘルツ近接場顕微計測を、グラフェン(グラファイトの単原子層の薄膜)や二酸化バナジウムなどの物質にはじめて適用し、電流揺らぎを捉えられないか試みました。今後は、光の領域で物性研究を深めていきたいと考えています。

更新日 : 2022.06.25