新しい機能材料の発見は技術革新の可能性を秘めています。しかし現在の所、非経験的な理論計算から物質の性質を高い精度で予測する事はできていません。例えば、超伝導のように量子力学的な効果が巨視的なスケールで現れる現象では、個々の電子を記述する物理法則とは異なる多体相関の概念が必要になります。当研究室では、物質群に特有の電子状態の知識をもとに、その系がなぜ磁性や超伝導特性を示しうるのか、そのメカニズムを解明し、新しい理論概念を構築することを目指しています。さらに長期的視野では、新奇物性や新しい量子相の予言、高温超伝導体などの物質設計にも取り組んでいます。
我々の日常生活をかたちづくる身近な物理現象は多様ですが、そのほとんどすべては動的で非平衡です。物質やエネルギーの流入と散逸が拮抗する動的な状態が、自発的な秩序形成や特異な転移ダイナミクスを生み出します。とくに生命現象はそのような非平衡現象の宝庫です。我々の研究室では、ソフトマター物理学、流体物理学、非平衡物理学などの手法に基づいて、生命現象を含むマクロな自然現象全般について研究しています。ほかではあまり研究されていないようなユニークなテーマを取り上げ、それらの現象の背後にあるメカニズムを理論と実験を組み合わせて解明することを目指しています。
更新日 : 2022.06.30